大型トレーラーと聞くと多くの方が一つだけの車両を思い浮かべますが、実はトレーラーには荷物に合わせて種類があり、用途によっても使い分けられています。
大型トレーラーの運転手を目指している方にとって、種類や用途を知ることが出来れば、転職の参考にできるのではないでしょうか、
そこでこの記事では、大型トレーラーとは何なのか、どのように使われているのかなど現役運転手が解説していきます。
全車両中で最大サイズの大型トレーラー
大型トレーラーは全車両中で最大サイズのトラックで、その大きさは
連結全長16m~18m、全幅2.5m、全高3.5mと日本国内を走行するトラックの中では、最も大きなトラックとなっています。
一回で20t以上の荷物の輸送が可能で、建設機械や建材、コンクリート製品、橋脚など、ほかの車両では輸送できない荷物の輸送を専門に行います。
運転に必要な運転免許は大型免許とけん引免許の2種類が必要になり、両方の免許を所持していないと、公道での運転は出来ません。
運転免許取得の難易度も運転そのものの難易度も、日本国内を走行する車両の中で最も難しく「かっこいい、いつか運転してみたい」と、憧れを持つ現役運転手の方が多いトラックとなっています。
大型トレーラーの分類は2つ
大型トレーラーはその特徴から大きく分類して、2つのトレーラーに分かれています。
ここでは、分類別の特徴や運転についての特徴も合わせて、ご紹介していきたいと思います。
セミトレーラー
トレーラーと聞いて多くの方がイメージしているのが上記画像のトレーラーではないでしょうか。
セミトレーラーの特徴は、トラクターヘッドと言われる車両がトレーラー部分を連結して牽引しますが、荷物や用途に合わせたトレーラーで集配作業を行うことが出来るため、非常に効率のいい運行を行うことが出来ます。
輸送する主な荷物は、パレットに積みつけられた製品、フレコン、建設資材や建設部材、大型建機など、セミトレーラーでないと輸送できない荷物の輸送が主な仕事。
連結時の車両の全長は16mを超え全長規制は18mで、右左折時などには大きな内輪差が生まれることから運転の難易度は高く、運転手として働くためにはある程度の大型車両の経験がないと、採用されることは難しくなっています。
フルトレーラー
フルトレーラーは上記画像のような車両で、セミトレーラーと違い連結部分が運転席から遠い場所にあり、運転に関わる折れ点が2か所あるのが最大の特徴です。
4t・中型トラックが2台連結されているという構造を思い浮かべることが、一番近いイメージかもしれません。
連結時の全長は最大で25mが全長規制となり、この範囲内での車両がフルトレーラーとして荷物の輸送を行っています。
輸送する荷物は粉粒体、飼料、鉄くず等の再生資源などを主に扱い、運転手が自分の手で荷物の積み下ろしを行うことはなく、全て機械荷役の作業となります。
そして、運転に関してですがフルトレーラーは、前方の車両が通過したところと同じ場所をトレーラー部分が通行するので、直進時や右左折の難易度はセミトレーラーに比べて難しくないでしょう。
しかし、折れ点が2か所あるフルトレーラーでのバックは、現役運転手でも難しいと言われるほど難易度は高く、運転には慣れと技術が必要になるでしょう。
大型トレーラーの種類と用途ついて
ここでは、大型トレーラーの種類と用途について解説していきますので、大型トレーラーに興味のある方は、職種選びの参考にしてみて下さい。
セミトレーラーウィング車
最も知名度の高いトレーラーで、輸送する荷物はパレットに積みつけられた製品や、水濡れ厳禁といったような荷物の輸送に最適です。
現在の運送業界では、深刻な人手不足の現状からトラックの大型化が進んでおり、これから先需要が高くなるトレーラーだと言えます。
セミトレーラー平ボディー車
セミトレーラー平ボディー車は、ウィング車と同じ様な荷物の輸送を行いますが、ウィング車に積み込むことが出来ないような大型貨物の輸送に適した車両となっています。
例えば、風力発電のプロペラや建設機械など、屋根があると輸送できない荷物を運ぶことが出来るので、活躍の場は多いと言えるでしょう。
海コンセミトレーラー
海コンセミトレーラーは海上コンテナを専属で輸送するトレーラーのことで、トレーラーでないと海上コンテナの輸送は出来ません。
海上コンテナには20フィートと40フィートの2種類があり、40フィートはセミトレーラーと同じ全長となっています。
海コントレーラー運転手はコンテナ輸送にだけ行い、コンテナ内の積み下ろし作業は専属の作業員が行う為、肉体的負担が少ない仕事です。
セミスタンショントレーラー
セミスタンショントレーラーとは、トレーラー部分の両脇に落下防止の棒がついていて、丸太や鉄鋼材などの輸送に使用されています。
積み込む荷物の長さによってスタンションを移動させて、落下しない様に荷物を支えることが出来ます。
荷下ろしの際には、玉掛け技能講習や小型移動式クレーン技能講習が必要になることが多いので、必須資格として所持しておくことが必要になるでしょう。
重機運搬セミトレーラー
重機運搬セミトレーラーはその名の通り、重機を専門に扱うトレーラーのことで、重機の重量に耐えられるように、トラクターヘッドが2軸になっています。
また重機の幅に合わせてトラクターヘッド部分より、荷台部分の方の幅が広く重機が乗り降りしやすいように、低床使用になっています。
その為、運転には細心の注意を払う必要があり、一定以上の技術が必要になるトレーラーです。
セミタンクトレーラー
セミタンクトレーラーは、主にガソリンなどの石油製品、液化ガスなど主に液体の輸送に使用されるトレーラーとなっています。
運転に関する難易度は、一般的なセミトレーラーと同じですが危険物の輸送に関わる為、危険物取扱者や高圧ガス移動監視者資格が必要になります。
運転自体の難易度は一般的なセミトレーラーと変わりませんが、輸送する荷物が危険物になることが多くなるので、運転には細心の注意が必要になります。
フルトレーラー深ダンプ
フルトレーラー深ダンプとは、荷台部分のアオリが普通のダンプと違い高く作られているのが特徴で、その分多くの荷物を積み込むことが出来ますが、砂利や土砂は過積載となる為、深ダンプでは輸送することは出来ません。
その為、輸送する主な荷物は飼料などの粉粒体や鉄くずなどの再生資源、そして家屋などの解体で出た、建築廃材などが輸送する主な荷物となります。
フルトレーラーバルク
フルトレーラーのバルク車は粉粒体の輸送がメインの荷物となり、砂糖などの食品原料、家畜の飼料、化学製品の原料など、全ての粉粒体の輸送に関わるトラックとなります。
特にフルトレーラーのバルク車は家畜の飼料で多く使用されますが、これは配達先である農場が狭くセミトレーラーでは入場できない為でもあります。
また、農場に設置されている飼料用タンクに移し替える作業があることから、排出装置を備えたフルトレーラーのバルク車でないと、荷下ろしが出来ないことも影響しています。
ポールトレーラー
ポールトレーラーとは、普通のトレーラーでは輸送することが出来ない貨物に必要なトラックで、長さがあって分割できない貨物の輸送で活躍します。
具体的には長尺物の鋼材(H鋼)や新幹線などの鉄道車両の輸送で用いられ、トレーラー部分を荷物に合わせて長さを変えることが出来るので、40mを超える貨物の運搬が可能となっています。
キャリアカー
キャリアカーはセミトレーラーにもあり、運ぶ貨物は普通車などの一般車両となります。
キャリアカーはその特性上貨物である車両がむき出しとなっている為、走行中に木の枝や標識などをよけて通行する必要があります。
万が一キズを付けてしまうと破損扱いとなり、賠償責任を問われることもある為、注意が必要になります。
大型トレーラーに必要な免許の取得条件と費用について
トレーラーを運転するためには、大型免許とけん引免許取得が必須となります。
そこでここでは、大型免許とけん引免許の取得条件や取得方法、取得費用まで詳しく解説していきます。
大型免許
大型免許取得条件は普通免許、準中型免許、中型免許、大型特殊などの運転免許を取得後、通算運転経歴が3年以上必要となっています。
普通免許は18歳から取得できるため、最短で大型免許を取得するのであれば21歳から取得できるということになります。
また身体的な条件として
視力
裸眼もしくは眼鏡、コンタクトレンズの使用で両眼0.8以上、片眼0.5以上。
深視力
三桿法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、誤差の平均が2センチメートル以下であること。
色別
信号機の色(赤・青・黄)が識別できること
聴覚
10メートルの距離で90dBの警報機の音が聞こえること。(補聴器の利用も可能。)
その他身体的条件
自動車の運転に支障をきたす身体障害がないこと
となっています。
基本的に深視力以外の条件は普通免許と変わらないので、問題なくクリアできていると考えていいでしょう。
大型免許を取得するための方法は2つありますが、一つは指定教習所で既定の実技講習を受け卒業検定に合格することで交付される方法と、運転免許センターで試験を受ける一発試験の2種類があります。
指定教習所で大型免許を取得する場合には、基本的に合格するまで卒業検定を受けることが出来るため、合格率は100%に近い数字になっていますが、運転免許センターでの一発試験の合格率は20%~30%程度と非常に難易度が高い試験となっています。
その為、一発試験で大型免許の取得を考えている方は、最低でも3回~5回程度の受験は覚悟し、それ以上かかるかもしれないことを考えておく必要があります。
けん引免許
けん引免許取得条件は18歳以上であれば誰でも取得可能で、
視力
裸眼もしくは眼鏡、コンタクトレンズの使用で両眼0.8以上、片眼0.5以上。
色別
信号機の色(赤・青・黄)が識別できること
聴覚
10メートルの距離で90dBの警報機の音が聞こえること。(補聴器の利用も可能。)
その他身体的条件
自動車の運転に支障をきたす身体障害がないこと
となっています。
取得方法は運転免許センターでの一発試験と、指定教習所で講習を受けて取得する2種類の方法があります。
取得費用は一発試験で6100円程度、指定教習所で取得した場合が13万円前後となっていますが、けん引免許の一発試験は難易度が非常に高くなっており、一回目での合格は難しいので、数回以上かかると思っていた方がいいでしょう。
大型トレーラーの運転手になるには?
大型トレーラーの運転手は、基本的に未経験者でも可というような募集は珍しく、経験がないと採用されることは難しいでしょう。
しかし、採用される可能性を高めることは可能で、いくつかの方法を合わせることで未経験者でも、大型トレーラーの運転手として採用される可能性はゼロではありません。
採用される可能性高めるためには
- 指定教習所で大型免許とけん引免許を取得する
- 採用に有利な資格の取得
- 転職サイトの利用
上記した3つが、トレーラーの運転手としての経験がなくても、採用される可能性を高める手段になります。
現在の指定教習所では大型トラックを使用して教習を行う為、大型トラックの運転の経験がなくても、全くの未経験者ではないと会社側から判断されます。
そしてけん引免許についても、過去にはトレーラー部分が1軸であったのに対し、現在では2軸と運転難易度の高い車両を使用して教習を行っているので、こちらも会社側からみると全くの未経験者ではないと判断されます。
そして荷役時に必要になる
- フォークリフト運転技能講習
- 玉掛け技能講習
- 危険物取扱者
- 高圧ガス移動監視者
などの資格を所持していることで、会社側からは全くの未経験者ではなく、必要な資格も所持しているのであれば、採用して経験を積ませてもいいのではないか、という判断につながります。
そして、未経験でも採用される求人が見つかる可能性が高いのが「ドライバー専門の転職サイト」です。
ドライバー専門の転職サイトでは、企業側が広告費を出すことで求人情報を掲載しています。
広告費が出せる企業=経営状況が良い会社=新人教育にかける費用がある
ということになるので、未経験でも採用される可能性は高くなります。
もちろん、大型免許やけん引免許は必須となり、フォークリフトなどの必要資格も所持しておく必要はありますが、筆者自身もトレーラーの運転手には経験のない状態で採用されています。
これから大型トレーラーの運転手として働きたいと考えているのであれば、採用されるために必要な行動をし、大型トレーラーの運転手を目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ
トレーラーには多くの種類があり、用途に合わせた使用方法で輸送業務に従事しています。
これから、トレーラー運転手を目指すのであればトレーラーの種類を理解し、自分に合った職種選びが重要ですが、トレーラー運転手の経験がない状態では、公的機関などで応募可能な求人を見つけることは難しいでしょう。
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