バルク車と聞くと、どのような車両が思い浮かびますか？
あまり聞くことのない名前で、形も想像できず仕事内容も良く分からないという方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、分かりにくいバルク車について、バルク車がどのような車両なのか、種類、構造、仕事内容まで詳しく解説していきます。
バルク車とは？
バルク車とは粉粒体の輸送に用いられるトラックの総称で、小麦粉や砂糖、建設資材の原料そして化学製品で使用される原料など、粉状の製品をそのままの状態で輸送するときに使用されています。
また、家畜の飼料の輸送にも使われている為、多くの分野で欠かせない存在のトラックとなっており、輸送に使用されるトラックのサイズは、2tトラックから大型トレーラーまでほぼすべてのサイズでバルク車が存在します。
バルク車の運転手は、他のトラック運転手のように、直接手で荷物を触れて積み降ろし作業を行う必要がなく、肉体的負担は少なくなっています。
バルク車の構造
バルク車には用途に合わせていくつかの種類がありますが、基本的な構造はどの車両も変わらず、タンク上部から粉粒体を積みタンク下部から排出するという構造になっています。
バルク車のタンクは、下部に行くにつれて細くなり粉粒体が集まりやすい構造になっており、排出時にはエアーコンプレッサー等で空気を送り込み、流動化させて排出していきます。
積み込み時にはサイロと言われる構造物の下に入り込んで、タンク上部に備え付けられたマンホールから積み込みを行いますが、大型車両の場合には一か所のマンホールからでは、全体に荷物が行き渡らないので、車両を前後させながら数か所のマンホールを使い、均等に積み込みを行えるようになっています。
バルク車の種類
飼料運搬バルク車
バルク車と聞いて最初に思い浮かぶ車両が、家畜の飼料などを運搬するバルク車で、多くの車両が飼料運搬の業務に従事しています。
飼料運搬のバルク車には他のバルク車には見られないブームがついていますが、排出にはこのブームを使い農場などの家畜飼料タンクに排出します。
ブーム内部にはスクリューが取り付けられており、これを回転させることで上部に移動させて、高所へと送り込むことが可能になっています。
タンク内部は複数の飼料を同時に運搬できるように仕切られていますが、積み込み時に混ぜてしまうなどの、人為的ミスが多く起こっているので注意が必要となります。
エアスライド式バルク車
エアスライド式バルク車の特徴は空気の力で、粉粒体を流動化させる車両です。
タンク下部には空気が出る布が張り付けられており、布から出た空気がタンク内部の圧力を上げ、粉粒体を押し上げて流動化させることにより、傾斜に沿ってエアーの圧力で外部に排出させます。
主に流動化しやすいセメントや、フライアッシュ(石炭を燃焼させることで生じる灰の一種)などの粉粒体輸送に、用いられることが多くなっています。
エアレーションブロー式バルク車
エアレーションブロー式バルク車は他のバルク車と比べて、タンクの形状に少し違いがあります。
エアレーションブロー式バルク車のタンクの形状は、下部に行けば行くほど細くなり傾斜がきつくつけられていますが、これは重力を利用して粉粒体を下部に下げて排出するためで、エアスライド式バルク車のように粉粒体に流動性を持たせることが出来ないので、このような形状が必要になります。
タンク下部に集まってきた粉粒体は、タンク内部の圧力を高めることにより排出され、主にセメントや石灰、飼料などの輸送に用いられることが多くなっています。
バルク車の仕事内容
バルク車の仕事内容は、粉粒体の輸送ですが一般的なトラック運転手のような働き方ではありません。
バルク車運転手の一日の流れは、前日夕積みした荷物を配達先の工場や畜舎などに届け、物流拠点に戻って荷物を積み込み、また配達するということになります。
ここだけ聞くと、何が普通のトラック運転手違うのか分かりにくいと思いますが、バルク車の仕事では不特定多数の場所での集荷というものがありません。
なぜそのような集荷がないのかと申しますと、バルク車は専用の粉粒体しか積み込むことが出来なためです。
例えば、砂糖などの輸送を行った後にセメントなどの粉粒体を積み込むと、タンク内部に残っている砂糖と混ざってしまい、セメントには異物が混入してしまうということになります。
逆のパターンでも同じでセメントを積んだバルク車で、砂糖の運搬をすると異物混入となり食品衛生上の大問題になります。
また、飼料関係のバルク車にもA飼料(牛専用)とB飼料(豚・鳥)専用車というものが存在し、その飼料しか輸送できない様になっています。
このようにバルク車は、普通のトラック運転手のように集配する荷物が毎回変わるのではなく、決まった荷物の輸送に従事していることを覚えておきましょう
まとめ
ここまで、バルク車がどのようなトラックなのかについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
この記事が、バルク車に興味のある方の役に立てば幸いです。
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