トラック運転手は勤務時間が長く、長時間労働で時間外労働も多くしているイメージがありますよね。
しかし、トラック運転手には過労による事故やけがを防ぐための法律が定められており、他業種と同じく労働できる時間が定められています。
そこで今回は、分かりにくいトラック運転手の労働時間の決まり事や、時間外労働について詳しく解説していきます。
現役運転手が感じる運転手の時間外労働について
トラック運転手は時間外労働が多いというイメージを持たれている方が多いと思いますが、トラック運転手として働いていて様々な要因が重なり時間外労働、残業が長いと感じることは現実としてあります。
しかし、運転手だから時間外労働が長いと感じているわけではなく、他業種と変わらない残業時間で働き方の問題で時間外労働が長く感じると思っています。
例としては建設関係の仕事であれば朝5時半ごろに家を出て、7時半ごろ現場に到着し5時まで仕事をして、7時ごろ自宅に帰ってきますよね。
建設関係の仕事であれば現場への通勤時間は業務時間に含まれませんが、運転手は運転が仕事であり現場まで行く時間も業務時間としてカウントされます。
その為、時間外労働まですると他業種よりも長く時間外労働をしているということになり、実際に仕事に費やした時間は変わらなくても、そのように感じてしまうようになるのです。
しかし、運転手は仕事内容によって半日で乗務が終わることもあるので、トータルしてみると他業種の仕事にかかる時間と、運転手の時間外労働には変わりがないのではないでしょうか。
トラック運転手の労働・休憩・休息時間の法律
様々な働き方があるトラック運転手ですが、法律で定められている労働時間を守った運行をしなければいけません。
運転手の労働時間は一週間で一日13時間以内、最大でも16時間以内と定められており、16時間の勤務は一週間に2回以内と定められています。
また運行中は2時間に15分、又は4時間に30分の休憩時間の取得も必要になり、車両を止めて休憩をとる必要があります。
トラック運転手特有の荷待ち時間は拘束時間に含まれるため、休憩に充てることはできず万が一休憩時間として扱うと労働基準法違反となり犯罪です。
そして、仕事と仕事の合間の休息時間は8時間以上開けることも、法律として定められています。
トラック運転手の時間外労働の原因とは?
ここでは、トラック運転手の時間外労働が多くなる原因について現役運転手目線でご紹介していきます。
運転手特有の荷待ち時間
トラック運転手の時間外労働の一番の原因と考えられるのが、運転手特有の荷待ち時間です。
荷待ち時間は荷物を現場で積み下ろしするまでの時間のことで、受け付け順で積み下ろしを行っていくために発生し、国土交通省調べでは平均荷待ち時間が1時間9分発生していると報告されています。
この荷待ち時間は、拘束時間となり車両の中で待機していても休憩時間に含まれることはなく仕事中として扱われますが、荷待ち時間が長くなればなるほど勤務時間も長くなり結果として時間外労働が発生してしまうことになります。
道路・交通状況の影響
トラック運転手の時間外労働時間が多くなる原因の一つが、天候による道路の状況や渋滞などによるものです。
大雪などが降ることで通行止めになり、迂回することで遠回りになることや大雨で道路が冠水し通行できなくなるなど、運転手自身でどうすることもできない状況になることがあります。
また交通事故による通行止めや渋滞で、勤務時間が大幅に伸びてしまうこともあり、トラック運転手の時間外労働の原因の一つとなっています。
繁忙期の荷扱い量の増加
トラック運転手の時間外労働の発生は、ゴールデンウイーク前やお盆休み、正月などの長期休暇前の繫忙期に荷物が集中することで、起きることが多くなっています。
もちろん職種によって違いはありますが、食品や宅配便を担っているトラック運転手は特に繁忙期の影響を受けることが多く、時間外労働が増えることがあります。
繁忙期においては、企業側でアルバイトなどの人員確保も行われますが、物量の増加に追い付かずどうしても時間外労働が発生してしまいます。
しかし、食品や宅配便などの運転手は比較的に荷待ち時間が少ない傾向にあり、残業が少ないことが多いため、繫忙期の時間外労働が給与にプラスになると、ありがたいという声もあります。
トラック運転手の時間外労働を減らす取り組み
トラック運転手の時間外労働の原因とされている荷待ち時間が、長時間労働につながり運転手不足の原因ともなっています。
そこで標準貨物自動車運送約款の改正により、運賃と作業の料金が別枠として支給できるようになりました。
また、貨物自動車運送事業輸送安全規則において、荷待ち時間の記録も義務付けられるようになりました。
これにより荷待ち時間にも料金を請求できるようになり、大手企業を中心に荷待ち時間がある程度改善されてきている状況ですが、中小企業では改善が遅れているのが現状です。
時間外労働の改善を求めるなら転職もあり!
運送業は元請けと傭車(下請け)の違いがはっきり出てしまう業種で、時間内に収まる仕事であれば元請けが、時間内に収まらなければ下請けにという状況が多く発生します。
同じ運送業なので元請けだから傭車だからは関係なく同じ法律が適用されるのですが、元請けの運転手の労働時間を守るためにこのような状況になることがあります。
その為、分かってはいても元請けに逆らうことが出来ず、長時間労働をさせてしまっている運送会社は多く、このような会社では時間外労働の改善は見込めないうえに最悪の場合には残業代の未支給も考えられます。
このように会社が改善や対応をしてくれないのであれば、自分自身が転職するという方法で対処や改善をしていく必要があります。
現在の運送業界で運転手不足は深刻で転職の難易度は低いため、思い切っての転職で時間外労働の改善を図るのも一つの方法ではないでしょうか。
まとめ
ここまでトラック運転手の時間外労働について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
この記事がトラック運転手の時間外労働について考えている方の役に立てば幸いです。
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